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ひとり染む 真冬の藍の清々し
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手塩掛け 藍染め糸の旅仕度
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妻と来て藍畑するしあわせを
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藍染めと発酵
SIGEL天羽工房 村上由朗 2016.11.1
A. SIGEL天羽工房で取り組んでいる藍草(植物)
1. 縮み藍・・蓼科・温帯地方の植物・一年草(自家採種) (宮城県栗原郡栗駒の種)
2. 琉球藍・・キツネノマゴ科・亜熱帯地方の植物・多年草(株分け・挿し木)・日陰を好むので北側で栽培している (徳島県阿波市市場町の苗)
3. 丸葉藍(=水藍) ・・蓼科・亜熱帯地方の植物・一年草(自家採種)・・日本で昔、地域毎に土地に合った藍が栽培されていて、京都九条辺で栽培されていた/早種
(4. 小上粉・・蓼科・一年草・・徳島(阿波)で多く栽培されている・・枝葉の分岐多く、根茎から発生・収量多い)→(去年迄はSIGELでも借りた畑で栽培していました(すくも(蒅)を作りました)→今年は富津の有機栽培農家に委託して栽培してもらっている)
B. SIGEL天羽工房で取り組んでいる藍作り
1. 蒅(すくも)
藍こなし(藍葉(小上粉)の乾燥)した葉/120~140日間かかる/寝床に寝かして発酵させる・50~60cmに積み上げ、藍を切り返し、水を与える/
(自家製蒅も少量作りますが、本場徳島(阿波)の藍師(蒅を作る職人)が作った蒅を主に使ってます)
**** インディカン(インディゴの基になる物質)→酵素反応=発酵→インドキシル(水溶性)→酸化→インディゴ→下記C-3. ****
2. 沈澱藍
多年草の琉球藍の葉を水に浸け、発酵させて作る:インディゴ色素含量高い
**** インディカン→(インドキシル配糖体/加水分解・酵素)→インドキシル(水溶性)→(消石灰投入・撹拌)→インディゴ(青色素/インディルビン(インディゴレッド) & イソインディゴ(青色素/インディゴブラウン) 等雑多な染料) ****
C. SIGEL天羽工房で取り組んでいる藍染め
1. 生葉染め
縮み藍・琉球藍・丸葉藍・
**** インディカン(インディゴの基になる物質:無色)→分解/酵素反応→インドキシル(水溶性:無色)→繊維に染み込む→空気酸化→インディゴ(青色) ****
2. 生葉・七色染め(発酵煮染め・湯漬け法)・・琉球藍の葉と塩/ミョウバン溶液を耐熱ビニールに入れて熱湯を注ぎ、日向に一週間近く置いておく・ナイロン・絹・毛・麻・綿を染められます。液の温度・気温・保存場所・紫外線により赤紫~黄緑に発色します。
3. 本藍(蒅)・灰汁発酵建て
徳島(阿波)の藍師からすくも(蒅)購入・水は富津の和蔵酒造の天然水利用・100Lの熱湯を木灰に注ぎ、500回掻き混ぜ(熱湯故危ない且つ肉体労働)、一昼夜おいて上澄み液(灰汁)を6-7回採取する・その灰汁をベースにしてすくも(蒅)から建てる(発酵させた蒅を更に発酵させて藍色を染められるようにする) SIGELではカセイソーダ等の化学物質はまったく使ってません。
**** インディゴ(蒅/水に不溶性/酸化状態)→還元・藍建工程(ふすま(麬)や日本酒・泡盛・水飴等澱粉質・アルコール等投下&撹拌=藍液中の藍還元細菌(インディゴ生産菌 )増殖=pH10.8前後&温度25℃前後:建てる=発酵)→ロイコインディゴナトリウム(還元型インディゴ/インディゴホワイト(水(アルカリ性)に可溶性)→染色工程(藍染料を繊維中に浸透→空気酸化)→インディゴ(水に不溶性) ****
4. 本藍(蒅)・木灰建て
灰汁を作らず、すくも(蒅)に木灰を直接混ぜ(=最適なpHを維持)、60℃程の水で建てる (6月下旬~9月下旬) 加温しない=常温で建てる
D. SIGEL天羽工房では藍染めワークショップを開催してます。
完全予約制で、酵素玄米のランチも召し上がれます。その時の状況により上記1.~ 4. の何れかで、絞り染め・板染め等で染められます。
E. 大自然の視点から見た藍染め
1. 宇宙が誕生して137億年→地球が誕生して46億年→自己保存と自己増殖の生命活動開始~最初の生命・原始微生物が誕生して38億年→
1-1. (動植物は原始生命→光合成細菌→好気性細胞→バクテリア(原核生物(DNAが細胞質に浮遊)・細菌)との共生→多細胞化した成れの果て)
2. 数回の氷河期を生き抜いた極限環境生物が誕生して35億年→
2-1. 藍=極限環境微生物→ (アミノ酸→蛋白質→酵素)好アルカリ菌(細胞膜の外に水酸化物イオン(OH-)が存在している環境に棲んでいる)を利用した染め物=高アルカリ(pH10.8前後)で水素結合等により構造が強化される(普通の蛋白質(アミノ酸→蛋白質)は高アルカリで構造が分解する)
3. 最初の人間が誕生して100万年→ホモサピエンスが誕生して20万年→アフリカから拡散して10万年・・
3-1. 紀元前2400年頃のエジプトのミイラを包む麻布に藍染めの糸が織り込んであるのが発見されている
3-2. アメリカ大陸でもペルーを中心に高度な染織技術があった
3-3. 印度でも古代から藍染めが行われていた
3-4. 3C 頃の「魏志倭人伝」に藍で染めた布の記事が書かれている
3-5. AD.7-8C「万葉集」「鴨頭草(ツユクサ)に 衣色どり摺らめども うつろふ色といふが苦しさ」「古事記」「延喜式」に山藍を使った青摺りの記載がある
4-1. その涯にある今此の瞬間(自然界は微生物で充満している)
4-2. 藍染めは、35億年の極限環境微生物の働きを、高々20万年のホモサピエンスが、高々4000-4400年間利用させてもらって色・藍色をいただいている行為なのでしょう。