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好きな写真家 육명심/ Yook, Myong Shim/ 陸明心 1932-
- 大塚巧
- 2017年8月15日
- 読了時間: 2分
『撮りたい被写体とは「異次元」』『異次元が顕現する一瞬こそ撮りたい被写体』(「異次元」July 14, 2017)と書いた。
ユンミョンシム(육명심/ Yook, Myong Shim/陸明心 1932-)が撮る写真は、そんな写真である。ムーダン(무당/巫堂: Korean shaman/ 巫/ 巫覡/ 巫俗)と呼ばれる韓国シャーマンや、韓国固有の神に関わる風物を撮る。生きた生身の人間の肉体と「物」との境界を問いかける写真。まさに、『異次元が顕現する一瞬』を육명심のカメラは捉え、自ら現像し焼き付ける(第2の「撮影」)。
深い森の中の大木の根元に可愛いハルモニ(おばあちゃん)がちょこんと座っている。農婦の日に焼けた皮膚は、大木の皮膚と一体化しつつある。幼女のように微笑むハルモニは、森の妖精に違いない。
大木は、このハルモニが生まれるよりもずっとずっと前から此の場所に居続けているのだろう。そんな大木がハルモニを優しく抱いている。大木とひと・大自然とハルモニが溶け合って、時間を超越して、一体化している。時間が無くなる。時間が無意味化している一瞬。
こんな一瞬を撮れる写真家こそホンモノだろう。
被写体であるハルモニが、此処まで心を開き、撮影者に心を許し、時間を超越した微笑みを見せ、其れに応えるように大木が無限の優しさでハルモニをそっと抱く。
被写体と撮影者の違いすらどうでもいいくらい一体化している。『異次元が顕現する一瞬』・・そんな瞬間の奇蹟に遭遇したい。そんな写真を撮りたい。


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