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好きな写真と写真家 福島菊次郎 1921-2015 『戦場からの報告―三里塚・終わりなきたたかい 1967-1977』 1980 社会評論社
- 大塚巧
- 2017年9月5日
- 読了時間: 2分

1961年に運輸省が新空港を検討開始し、1966年の三里塚芝山連合空港反対同盟結成の翌年から、1978年の管制塔占拠の前年まで(1983年の反対同盟分裂前)の『戦場からの報告』写真集です。
その後、いろんなことが起こり、現在2017年の「成田空港」から振り返ると、いろんな思いがあります。いろいろと考えているうちに、「好きな写真と写真家」で「福島菊次郎」を取りあげるのを止めようとしたのですが、やはり、私にとっての「写真」で、福島菊次郎と言うか、此の写真集『戦場からの報告』は小さくない位置を占めているので、セーブしつつ採用することにしました。

前回のサルガド同様に、福島菊次郎の『戦場からの報告』は、フォトジャーナリズムでありながらアートであると言えるかと思います。異論があるところかもしれませんが。
1967-1977の当時の時点で見たらフォトジャーナリズムの色彩が強いのかもしれませんが、この『報告』の後の空港反対闘争の展開/分裂と、日本という国家、世界の状況の変化、911、311とを経た今の時点で鳥瞰すると、サルガドの「アフリカ」同様に、アートと呼んでいい写真たちです。更には、写真に写されている若者たちの顔を見ていると反対運動の修羅場=『戦場』は「聖なる場」であったことも確信するのです。

写真の力って、すごいと思います。若者たちの涙も怒りもしっかり捉えている。
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