top of page

気になる写真家 牛腸茂雄 "SELF AND OTHERS SHIGEO GOCHO"


 「好きな写真と写真家」ではなく「気になる写真家」とした。正直言って、「好きな写真」というわけではないが、普通に有名な某「巨匠」の作品よりもよっぽど「気になる」のは確か。牛腸茂雄の作品を見ていると、何故か、キツくなる。暗い気分になる。それでいて、強烈に印象に残るイメージである。

 "SELF AND OTHERS "・・「自己と他者」という写真集がある。「他者」に対する関心、「自己」に対する関心。そして、「自己」と「他者」の「関係」に対する関心。多かれ少なかれ、ひとは、自己と他者の関係性の中で生活しており、多かれ少なかれ、其の関係性を気にしつつ生きている。「人間」という言葉そのものが示すように。その程度は、ひと様々。大して気にしないひと、酷く気にするひと、「他者」の側にウェイトが偏っているひと、「自己」の側にウェイトが偏っているひと・・・。まぁ、思春期頃迄は、気にするひとの方が多いでしょうか。時には病的に気にするひともいる。その一人が、牛腸茂雄なのだろう。そして、嘗ての私かもしれない。其の気分を「劣等感」と呼んでもいいかもしれない。

まぁ、いろいろあって、今の私は、幼児期~思春期~つい最近迄の自分と「別人」かと思う程自己評価が違う。成長なのか堕落なのかは定かではないのだが。そんな未熟過ぎる過去の自分とそっくりなのである(傲慢なわ・た・し)。牛腸茂雄の「自己と他者」への拘りが。

 確か、何か事件があった家だかを撮った牛腸茂雄の写真を見た時、あれ、これ私の写真じゃん?と思う程だったことがあった。今でもそうだけど、自分があまり好きではない。特に「別人」であった頃の自分は嫌悪感で殴ってやりたいくらいだ。だから、牛腸茂雄みたいな写真を撮る人間が私の前に現れたとしたら、殴り掛かりたくなるかもしれない(表現が辺見庸に似てきた・・)。そういう意味で、牛腸茂雄は、「好きな写真と写真家」ではなく、あくまでも、「気になる写真家」なのである。

 私が『撮りたい被写体とは「異次元」』『異次元が顕現する一瞬こそ撮りたい被写体』と述べた。此の一点で、牛腸茂雄と私は共通点があるのかもしれない。其の本質は、かなり相違しているだろうし、両者とも、依然として、好きではないが。。牛腸茂雄が撮った「異次元」は、あまり好きではないが、ただ、「異次元」に好かれた写真家であることは認める。その意味で、「気になる写真家」なのである。


特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page